ばあちゃんの郷土料理

旅館の”ばあちゃん”は、御年80歳
小学生の時に終戦をむかえたのだそうです
まかないで頂くばあちゃんの漬け物や郷土料理がおいしく
いろいろなお話を聞かせていただきましたので、すこしおすそ分けを

a0053783_08282876.jpg

これは、「ねずし」と呼ばれる、なれ鮨です
大根と人参を短冊に切ったものと塩鱒を米麹と塩で漬けたものです
発酵が進むと、酸味があって、食べられない人も多いのですが、私は好きです
秋田のハタハタ寿司も似たようなもので、やはり好きでした
お客様の会席料理にも時々おつけしていましたが、みなさん(外国の方も)よく召し上がってました
塩鱒や塩ぶりといった塩漬けの魚は、江戸時代には富山湾から高山に大量に運ばれ、高山から信州などにまた運ばれていったそうです
今でも、富山湾の寒ブリの話題は会話のなかによく登場するように見受けられます
板長さんのお話では、むかしは塩漬けにした魚を買うのは塩が欲しかったから、ということです
人間が生きるのに塩は欠かすことができない物質ですが、内陸にはそれがない
だから、沿岸から運んだわけですが、塩だけ運ぶよりも魚も塩漬けにして一緒に運べば、魚の保存も利いて一石二鳥
仲居のUさんの話では、竹かごに入って運ばれた塩ぶりの下に滴る”にがり”で「豆腐を作ったんやよ」と言うことです
なんと、一石三鳥
無駄なく効率よく、美味しく健康に、うまくできていたものです


a0053783_08283423.jpg
じゃがいもを甘辛く炊いた煮物
小さいじゃがいもも「無駄にはせんよ」と
鍋一杯にまとめて炊いておいたものを、毎日おいしくいただきました
下のほうの煮汁に浸かったところなど、ついもうひとつと食べ過ぎてしまうほど美味しいです

a0053783_08283828.jpg
大根も、まとめて鍋一杯炊きます
とろりと柔らかくて美味しいです
ごはんがすすみます
大根もじゃがいもも、じいちゃんばあちゃんが畑で無農薬で育てられたものです

a0053783_08284336.jpg

ニンニクを隠し味にした白菜のお漬け物
白菜も、無農薬の自家栽培

a0053783_08284651.jpg
赤カブと白菜の漬け物と盛り合わせて
ちなみに、器が鍋の取り皿なのは、鍋をいただいたあと器を再利用しているからです
お茶碗でお茶をいただくのも、茶碗についたごはんをふやかしてきれいにするためです
仲居さんも当たり前にこうしたことをされていました
禅寺の修行僧の作法とおなじですね
ごはんを一粒たりと残さず、水を大切に使うための知恵でしょう
こういう心は暮らしに残したいですね
(もちろん旅館の会席料理ではお茶は湯呑み茶碗でいただきますよ^^)
漬け物は、どれもとても美味しかったです
むかし、「ここらは冬になると”陸の孤島”やった」といいます
車など通らず、病人が出たら神岡まで橇で引いていったそうです
いまでも、病院は神岡まで行かないとありません
冬の間、食べ物といえば「味噌と漬け物しかなかった」ということです
味噌は、囲炉裏の火で朴葉の上に乗せて炙り、ごはんに乗せて食べたそうです
飛騨名物の朴葉味噌ですが、むかしは「野菜とか何も入らんよ」といいます
ただ味噌だけを炙ったということです
それでも、冷たいよりも温かいほうがだいぶいい
身近な自然の中にあるものを利用して、必要が生んだ知恵ですね
じゃがいもや大根をまとめて煮ておくのも、ひょっとしたら囲炉裏の火を無駄なく使う知恵だったのかもしれないと、確認していませんが、思いました
漬け物がおいしいのも、冬の食卓を飾る大切なおかずですから、美味しくないわけがありませんね
先日のお雑煮に入っていた蕨も、春に採って乾燥しておいたというものです
蕨の煮物も美味しくて、いっぱいいただきました
仲居のKさんは、ゼンマイを茹でて揉んで干して保存したりもするそうで、山菜は身近な食べ物です
土地の恵み、太陽の恵みを大切に活かした暮らしは合理的で美しくもありました

旅館を去る時、ばあちゃんが漬け物と「ねずし」をお土産に持たせてくださいました
「あんたは好きでよう食べてくれたから」と
ありがたいです
嬉しいです
またひとつ、忘れられない大切な場所ができました
 

[PR]
by hee3hee3 | 2015-01-08 08:44


風まかせ


by hee3hee3

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

管理人のページ

検索

カテゴリ

全体
南極
Mac
レシピ
ロケスト
未分類

タグ

(43)
(22)
(6)
(3)
(1)
(1)

その他のジャンル